ろうそくに火を灯して、クロウさんはあちこちを説明してくれる。
「ここは書斎。古い本がたくさんあるよ。ついでにエロ本も隠してある。見たいときはアスミに内緒で私に言いたまえ」
こそっとクロウさんが零くんに耳打ちして、零くんは苦笑い。
てか聞こえてるんですけど。
ってかそんな本、どこで手に入れたのよ!
「ここはバスルーム。と言っても幽霊には必要がないけどね。しかも湯も出なければ水も出ない。
ここは……何だっけかな…」
あちこちクロウさんが説明くれたけれど、お屋敷は広くて一回では把握しきれなさそう。
「アスミ、困ったときはいつでも私を頼ってくれたまえ。私はここのことなら何でも知ってるからね」
さっき物置みたいな変な小部屋のこと分からなかったじゃん。
大体こんな変な幽霊頼れるかっつうの!
「早速質問なのですが」
零くんが挙手した。
「何だね?」
「ここにはあなたしか住んでいないのですか?他にゆ……ゴーストは?」
もう“幽霊”でいいじゃん。零くんも律儀だなぁ。
こんな変な人に真面目に付き合わなくてもいいと思うのに。
「ここは私だけだよ。そりゃ不慮の事故なんかで幽霊になった人間は居なくはなかったけれど、
みんな成仏していってしまうんだ」
クロウさんがちょっと寂しげに顔を伏せた。



