「これは人間が置いていったものだ。ちょうどユーみたいに若い男が、隠れてタバコを吸っていたところを見ていてね。
若いうちからタバコはいかん。
こっそりと影から覗いていたわけだが、ちょうど暇していたしちょっと脅すと慌てて逃げていったよ。
そこで手に入れた、ライターなるものだ」
クロウさんは手の中に安っぽい100円ライターをまじまじと見つめて、ふんと鼻を鳴らした。
「で、あなたはやっぱり幽霊なんですか?」
と零くんが冷静にクロウさんを見上げる。
零くんの“れい”は幽霊の“れい”でもあり、冷静の“れい”でもあるんじゃない?
「Non,Non,ゴーストと呼びたまえ」
どっちも一緒の意味じゃん……
何なのこの人たち!突っ込みどころあり過ぎ!
「あなたはゆ…ゴースト歴は長いんですか?」
「私はこの方100年以上はゆ……ゴーストだよ」
もう“幽霊”でいいじゃん。そこ言い直すとこ??
「100年も?大先輩ですね」なんて零くんが返している。
「そうなのだよ。ここのことは何でも知ってる。なんでも聞きたまえ」
とクロウさんが鼻高々に…ってか元々高いんだけどね。自慢げに言った。
ってか、零くん!あなた何で普通に会話できるのよ!
でも不思議……
クロウさんは幽霊だって言うのに、全然怖くない…
造り物みたいなきれいな顔立ちをしていて、ちょっと人間離れした美しさを纏っているのに、
何ていうか……この人…纏うオーラが…
あったかい。
零くんみたいだ。



