―――だってあたし、まだ十五だよ?
受験勉強は大変だけど、憧れの零くんと同じ高校に入ったら、勇気を出して零くんに告白して―――
運が良ければ付き合えたりして。
ドキドキ初デートをして手を繋いだり、はじめてのキスをしたり…
全部全部叶えることなく、死んじゃったって言うの?
膝を抱えて項垂れていると、すぐ近くで同じように床に座り込んでいた零くんが、心臓の形をした香水瓶を手にしてまじまじと見つめていた。
「その心臓……無事だったんだね。ってか救急隊員の人に持っていかれなかったんだね」
よっぽど大切なものなのか、零くんがそのボトルを見つめる瞳は、こんなときも穏やかで優しい光を湛えていた。
「まぁいかにも古そうな瓶だし、ここのものだと思ったんじゃないかな。でも良かった」
愛しそうに見つめて、零くんが微笑む。
ドキリ、としてあたしは目をまばたいた。
だから、あたし心臓の音しないんだってば!
なんて自分で自分に突っ込みたくなる。
「ね、聞いていい?」
あたしが目を上げると、零くんはちょっと目を開いて、
「スリーサイズなら秘密だよ♪」なんて、自分の体を抱きしめる。
………
この人…やっぱ変。
「じゃなくて!それ大切なものなの?すっごく気にしてるみたいだけど」
苛立ちながらも何とか聞くと、零くんは少しだけ寂しそうな笑顔を漏らした。
あたしがいつも眺める―――窓辺の零くんの
あの切なそうな眼差し。



