敷地の周りをアイアンで象ったお洒落な柵がぐるりと囲んでいて、
手入れをしていない庭木の草や蔦が柵に絡まっている。
土色のレンガで造りの壁。可愛いらしいけどヒビが入ったり蜘蛛の巣が張ってる出窓。
どれもあたしが最初にこのお屋敷に足を踏み入れたときと変わりなく、同じ光景だった。
はじめてここを通ったとき、いかにも「出そう」な雰囲気にすごく、すごぉ~く怖かったケド
でも今はちっとも怖くない。平気。
だってすぐ隣には―――零くんが居るから。
かつてこのお屋敷に住んでた人は―――よく分からないけど、いつも優しい人だったから。
壊れた柵の一部から敷地の中に入って、零くんは手馴れた様子で扉の鍵を開けた。
「あの出窓から願い事をするってジンクスさ、あれってどこから流れたんだろうね」
あたしの隣を歩きながら零くんが笑う。
「零くんはあのジンクスを信じてたんじゃないの?」
あたしは信じてた。
「まぁ正直半信半疑だったな~。神様にもすがる思いっての??
だけど実際いたのはゆ……ゴーストだったけどね」
零くんはカラカラと笑う。
零くんも律儀だなぁ。もう“幽霊”って言ってもいいじゃん。
「お、お邪魔しま~す」
おずおずと顔を覗かせて、でも今度は何かのアクシデントで扉が閉まっちゃわないように、石を錘にして扉の下に置いておいた。
中はやっぱり埃くさくて、どんよりと薄暗い。
ちょっと怖い……
けど
懐かしい。



