鉛の詰まったような重い頭を横に向ける途中、手のひらに伝わる温かいぬくもりに気付いた。
隣のベッドには夢で見た―――零くんの白い横顔。
あたしたちは、光の渦の中でその手を繋いだまま―――
だけど零くんは目を開けることなく、青白い顔のまま身動きの一つもしなかった。
「零、零っ!!!」
零くんの…お母さんだろうか、零くんを必死に呼びかけている。
――――……ピ………
バイタルモニタの音があたしよりかなり遅い。今にも消えそうなほど頼りなく聞こえる。
「お兄ちゃん!!死んじゃいや!!」
女の子の必死な声も聞こえた。
嘘―――!!?
あたしだけ戻ってきたの!?
―――――零くん!
いやだよ!一緒に戻ろうって言ったじゃん!!
心の中で叫ぶと、
ぴくり
あたしの手を握っていた零くんの指先がわずかに動いた。
…零くん
零くん、あたしはここだよ!
もう一度呼びかけると、
ぴくっ
またも動いて、あたしの指先を僅かに力を込めて握り返してくる。
―――…ピ……ピ……ピ……
バイタルモニタのリズムが早くなった。
「零…くん。戻って……きて。
一緒に………帰るって……約束……したじゃない」
あたしはここに居る。
一人にしないで、零くん―――
今度は自分の口で呼びかけると、
すっ
零くんの瞼が震えて
ゆっくりと零くんが目を開けた―――