バッ!
あたしは勢い良く立ち上がった。
「どこ行くの?」
と、零くんの冷静な声が聞こえたけど、
「家に帰るの!そしたら分かるでしょ!」
と勢い良く走り出した。
そうだよ。家に帰ったらいつも通りお母さんが
「お帰り。遅かったのね」って迎えてくれる。
そうよ。こんな遅く…ってかはっきりした時間が分からないけど、あたしがいつまでも帰らなかったらお母さんもお父さんも心配してる筈。
サヤカもアヤメも!
あたしはこんなお化け屋敷に恐怖も感じず、階段を駆け下りた。
「待ってよ!」
と、零くんも慌てた様子であたしの後を追ってくる。
そもそもこんなお屋敷に来たのが間違いだったんだ。
零くんとお近づきになれるかも…なんて不純な動機で、遊び半分に覗きにきたから。
あたしは家に帰って勉強しなきゃいけない身なのに。
今、あたしには恋愛にかまけてる余裕なんてないのに!
なんて心の中で叫びながら、あたしは扉を勢い良く両手で開いた。
鬱蒼とした森のような庭が視界に飛び込み、あたしが同じだけの勢いで外に踏み出そうとした。
――――!!



