一通り怒鳴ると、零くんは戸惑ったままの視線を戻し、僅かに眉を吊り上げる。


「俺が生き返りたくないって、どうして結城さんには分かるんだよ。


あの音と光が見えなかっただけで?


俺だって生き返りたいって思ってるよ。もし結城さんが元の世界に戻ったら俺はこの変な幽……ゴースト、クロウさんと二人きりだからね。


そんなのイヤだし!」


確かにそれはイヤだ。


「れ、レイ!!……酷すぎる…」


一人場違いな感じでガーンとショックを受けてるクロウさんを無視して、


「クロウさんと一緒に暮らすのがイヤなんて理由になってないよ!


そんなのあたしだっていっつも思ってることだもん!」


あたしがクロウさんをビシっと指差すと、


「グサグサっっ!!アスミまで(泣)」


とクロウさんは益々気落ちした様子でがくりと肩を落とす。


口から魂漏れてそうだけど、そもそもこの人実体なんてないし、ほっといても大丈夫でしょう。





「生きるってのは誰と暮らすとかが問題じゃない。



大事なのは“意味”なんかじゃない。


ただそう願うだけで―――






ねぇ零くん。


零くんは何もかも要らない。何もかも捨てたって思うかもしれないけれど、





人間って小さな希望があれば、どんなことだって乗り越えられるんだよ」




たった一歩。


零くんに足りないものは「生きたい」と踏み出すたった一歩の勇気。


それはあたしに足りないものでもあったんだ。


たった一言、伝える勇気。


この気持ちがあれば―――あたしは前に進める。





たとえその先に明るい未来が待っていなくても―――


あたしは信じて進む。


ううん、進まなきゃいけない。





「零くん、あたしは






零くんのことが好き。大好き





ホントはずっと前から……幽霊としてここで出会う前から、あたしはずっと零くんを見てた。





あたしの気持ちを受け入れてくれなくてもいい。






だけど人生で初の告白の返事を生きてる零くんから聞きたいの」





たとえ、二人で同じ道を進めなくても




あたしは大好きな人と






生き返りたい。