「―――…え…え!?」


びっくりして目をぱっと開けると、目の前に零くんのドアップが。


びっくりし過ぎて思わず飛び起きる。


「…えっと…あたし……」


状況が理解できずに、あたしは辺りをきょろきょろと見渡した。


さっき夕日に染まっていた明るい廊下は、ひっそりと暗闇が取り巻いていて、少し向こう側がどんよりと闇が渦を巻いていてはっきりと様子が見えない。


さっき見たときよりもさらに迫力を増したお屋敷の廊下。


いかにも「出そう!」って感じがして、あたしは思わず身震いをした。


「階段から落ちたんだよ」


冷静な零くんがあたしを覗き込んで、心配そうに眉を寄せる。


階段から―――…


そうだった。


落ちて、頭打って―――…だから、こんなに頭が痛いんだ…


でも零くんは平気そう。


「れ、零くん!無事だったんだね!」


思わず勢い込んで、零くんの両肩を掴むと、零くんはびっくりしたように目をぱちぱちさせた。


「…えっと―――」


だってあんなに血が出て、しかも心臓の音してなかったのに…


奇跡的に助かったんだぁ。


「良かったぁ」


あまりにも嬉しくて、あたしは思わずほぉっとため息を吐いて胸を撫で下ろした。


零くんの次の言葉を聞くまで、本気で安堵してたのに。









「いや、俺たち死んでる」