「もう、結城さんは目を離すと、すぐにどこかへ行っちゃうんだから」
プリプリと怒りながらも、あたしの手を引いてお部屋に戻ろうとする零くん。
その後を必死についていく。
「モップは脱走の名犬だったんだ。もしかしてと思ったら」
やっぱあたし、零くんにとって犬だけどね…
いいもん別に、犬でも。可愛がってくれれば。
「脱走ってどうやって脱走するの?」
何となく聞いてみた。
そう言えば夢でも零くんはあのふわふわのチワワちゃんの脱走に怒ってたっけ。
「穴掘ってトンネル作って逃げ出す」
穴掘り!?
原始的っ!!
ってか意外と根性あるな。
「そんなに外の世界が見たかったのかなぁ」
「違うよ。モップの場合、逃げ出して俺たちが必死になって探してるのを見るのが楽しいんだ。
いつも近くの生垣から“ワン”って笑顔で出てくるんだよ」
も、モップ……小悪魔ワンちゃんだ。
「ふーん…穴…かぁ」
言って閃くものがあった。
「零くん!落とし穴!!」
「え!どこ?」
零くんは驚いたように足元を見ている。
「そうじゃなくて、クロウさんが作ったって言う落とし穴があるんだよ!あたし一回落ちたもん。
あのときは暗くて分かんなかったかもしれないけど、
もしかしたら外の世界に出られるんじゃ!!?」



