視界が歪んで渦を巻く。
零くん―――……
手を差し伸べて次に目を開けると、そこはあたしの知らない部屋だった。
ベッドの上に横たわった零くんがブリトニー・スピアーズの音楽を聴きながら、目を閉じている。
「美紗都―――」
一言呟いて、零くんは横たわったまま一粒の涙を流した。
零くん―――……
~♪Don't hold back, just let it go♪
(後ろへ下がらないで、前に進んで)
モップが「くぅん」と小さく鳴いて、零くんの顔をぺろりと舐めた。
零くんがくすぐったそうに目を開けて、ふわふわの首をちょっと撫でた。
白いデイジーのお花のコサージュが首にあって、あたしはちょっと目をまばたいた。
あれ……これ、どこかで……
「モップ。お前は離れていかないでね」
零くんはモップの首を撫でながら彼女を引き寄せると、愛おしそうにおでこにチュっとキスをした。
離れていかないよ。零くん。
あたしはずっと零くんの近くに居る。
だから安心して。
だからそんな悲しそうな顔しないで。



