「(幽)霊―――!!!」
やっぱり!
半分そうじゃないかって疑ってたけど…足あるけど…光の中で姿が見えるけど!!
やっぱりお化け!?
ズサッ!
思わず後ずさると、彼はちょっと半目になって
「漢数字のゼロで、零だよ。ちなみに人間デス」
と呆れたように腕を組んだ。
人間―――……
それでも疑わしい目つきで彼をちらりと見ると、彼はあたしの手をぐいと取って自分の心臓の辺りに這わせた。
あったかい……
制服の上から通しても分かるほどの温もり。
初めて触れる男の子の体は、女の子とはやっぱり違ってしっかりとした筋肉がついていて、
その細い体からは想像できないほどしっかりした造りだ。
…幽霊じゃない…??
いやいや違うだろ!って言うかこれってセクハラ!?
はじめて男の子の体に触れたのと、急なことに驚いて
あたしは叫び声を上げて、一歩下がった。当然踊り場の床が続いているものだと思っていたけれど、だけどあたしの足は床を踏み鳴らすことなく宙に浮いた。
「危な……!」
彼の大きな声が聞こえて、視界が回転する。
彼の背後の大きな窓や、高い天井からぶらさがった古びたシャンデリア。陽の光りですっかり色あせた絨毯とかがスローモーションに流れて…
落ちる―――……
そう実感すると同時に彼の―――ううん…零くんの顔が視界いっぱいに映った。
――――……



