「俺?俺は……」
言いかけて彼はう~ん…と首を捻った。
だけどすぐに、ドキッとするぐらい素敵な笑顔を浮かべて、
「さあ、何でだろうね…ここから離れられないんだ」
とさらりと言った。
あまりの爽やかスマイルに一瞬何もかもがどうでもいいように思えたけど…
は!?
「ここから離れられないって…どうして…」
「うん。どうしてだろう」
彼は再び考え込む。
えーっと…これって…
「……こ、ここに住んでるってことですか?」
「いや。住んではいないよ。ここ電気もガスも通ってないし」
「で、でも離れられないって…」
だめだ。堂々巡りじゃん。
この人不思議クン??会話が成り立たないじゃん!
でもだめよ、明日未!たとえあたしの好きになった人が不思議クンでも、ずっと想い続けてきたじゃない。
「あ、あの名前教えてください!」
思い切って聞いてみた。
「俺?」
ここにはあなたしかいません。
かっこいいけど―――やっぱ不思議クンだ…
「俺、レイ」



