あの日から3年が過ぎた。
自分は、2人で初めて行った思い出の場所に行った。
あの時と同じ様に、夕日が空も海も赤く染め静かな波の音だけが聞こえた。
思い出に浸る事なくただ信じて待っていた。




あなたとの出会いは、5年前になる。
自分は、まだ名もしれてない若手陶芸家で、作品を売るだけでは暮らしていくことが難しく、陶芸のインストラクターをしながら生活をしていた。
そこに夏休みだけバイトにきていたのがあなただった。


まだ高校生だったあなたは、元気ある娘としか印象を受けなかった。
一回りも離れてるおっさんには興味がないだろうなとしか思ってなく
休憩で一緒になっても一言二言で話を終わらせてた。

高校を卒業し、大学生になって辞めるのかと思っていた自分は気になり、
先輩の野村さんに聞いた。



「高田さんは、今年もくるの?」

「あっ、くるよ~、可愛いからって手をだしたらだめだよ。
あなたは、奥さんも子供もいる身なんだから…」

「…わかってるよ~」




そう、自分には、嫁と子供がいて、できちゃった婚で大学を卒業して直ぐに
結婚をした。
結婚してからというもの立場が逆転し、自分は尻にひかれていた。
だけど、
今年の夏も会えるんだ‼
って夏が楽しみで仕方なかった。