俺様王子の初恋





本当に、逃げてきて正解だった。
こんなヒラヒラでフリフリな
メイド服を誰かに見られたら
きっと笑いものにされてた。




着れません。って
返してこようかな。




目の前の予想以上の衣装を
眺めながら悶々と考えていたら
ガラリ、とドアが開く音がして
慌ててメイド服を袋に戻して
布団に潜り込んだ。







「 葵? 」







”出て行って”
そう思ってぎゅっと瞑った目を
ゆっくり開ける。






「 なに、寝てんの? 」






なんで、ここに?






ゆっくり近づいてくる足音に
耳を傾けながら、上体を起こした。