俺様王子の初恋





「 いち、・・・ 」



彼の人差し指が唇に宛がわれて
それ以上はいえなかった。
驚いて固まった私の耳元で
”違うだろ”って耳朶を噛まれて
痛みに片目を瞑った。




「 呼んで? 」




微かに震える身体。
頬に添えられた温かい手。
耳に感じる熱。




彼の与える全てに集中しすぎて
声が出る気がしなくて
口をぱくぱくさせていたら
彼が再度耳朶を強く噛んだ。




「 いっ・・・ 」




痛みに今度は両目を瞑ると
”葵”って彼が名前を呼んで
噛んだところをぺろり、と舐めた。




「 た、・・・・ 」


「 うん? 」


「 ~~~~~ッッ 」




名前を呼ぶだけなのに、
これ以上ないくらいに恥ずかしくて。