気を動転させる暇もなく ただただ驚きながら 口をパクパクさせている私の 周りは、女の子の悲鳴と 男の子の”おお!”とで とにかく朝から注目の的だった。 「 ・・・・・先輩 」 出したこともないような 低い声で怒りを露にすると 「 見せ付けんの、最高 」 満足気に笑った彼の笑顔と その言葉から滲み出る 隠し切れない変質的な 先輩に、私は押し黙った。 「 葵、顔赤すぎ 」 握られた手に、触れた唇に、 先輩の一言一言に、いちいち 私の心臓は跳ね上がってしまっていた。