「ーーろ!おーーろ!起きろー!!」

「うわぁぁあッ!!」

その日私は……

珍しく、寝坊した。

「アイタタ……もう、ダレ?」

ついでにベッドから落ちたらしく、打った腰がジンジンと痛みを訴えてくる。

腰をさすり、寝癖だらけの碧銀の髪をそのままに、声の主を見て私は驚愕した。

「やっほ~♪元気にしてましたか~♪」
間延びした優し気な声と、自分と同じ碧銀の髪にエメラルド色の瞳、衰えを知らない美貌の持ち主ーー

「か、母さん!?」

「は~い♪お母さんですよ~♪」


私の母【ユズハ】だった。

「でも、あれ?ナントカを極めに、世界一周しに行くってーー」

「ああ~♪あれですか~?思いの外簡単だったので~♪ソッコーで極めちゃえました~♪」

そして“世界最強”の異名を持っていたりもする。

あれぇ~?でも確か、ナントカを極めるには五年は掛かるって言ってたよね?

母さんが家を出てから、まだ“一週間”も経っていないんだけど……

「それでね~?【クリス】ちゃんの事が、母さん心配になっちゃいまして~♪今朝、精霊さんに送ってきて貰ったの~♪」