次の日もまた、同じ時間にチャイムが鳴る。
「・・・・・・」
「あの、入ってもいいですか?」
「入らねぇでどうやって『家政婦』やんだよ」
「・・・・・・ですよね」
そう言って部屋の中に。
やっぱり今日も制服のまま。
和香はカバンを下ろして、
「あの」
いつもの台詞を口にして俺に振り返る。
「んだよ」
今度はなんだ?
「お名前」
「は?」
「なんてお呼びすればいいですか?」
「・・・・・・」
あぁ、だから今まで『あの』だったわけか。
でも、
「お前、俺の名前知らねぇの?」
その質問に和香は首を振った。
だよな。
じゃなきゃ、俺の家なんて分かるわけねぇし。
「相沢翔汰さん、ですよね」
和香は俺の名前をフルネームで答えた。


