「もう一度、頼みに行こう」 そう口にする父親を俺は冷めた目で見ていた。 どうにもならない。 なるはずがないと思ってたから。 でも、それを口にすることは出来ない。 「翔汰、悪いけど一緒に・・・・・・」 気弱な母親。 『何』もあるはずなんてないのに。 だけど、 「いいよ」 俺は二人について行った。 今日は日曜日だし。 いや、学校があったとしても、もう意味ねぇし。 家を出て車に。 この車も差し押さえられんだろうなって思うと、なんとなく笑えて。 俺は後部座席に座った。