なのに、 「無理、です」 和香は首を振る。 「・・・・・・何が?」 俺の問いに和香は闇に捕らわれた瞳を俺に向けた。 「父は、再婚するんです。だから――」 もう無理だと、 迷惑はかけられないと、 和香は俺に告げた。 消え入りそうな声で。 だから、助けを求めることも出来ずに和香はここにいる。 他に行くところが見つからなくて。 そのきっかけを作ったのは、 間違いなく、俺だ。 なのに俺はその罪に苛まれるどころか、 その状況に、 ホッとしたんだ。