気だるい頭を両手で抱えて、 そのまま頭から離してその手を眺めた。 この手にはまだ彼女の感触が残されたまま。 部屋には彼女の残り香が漂う。 「――馬鹿だろ、俺」 自分を笑ってやりたいのにうまく笑えない。 キスも無い、 お互いの名を呼び合うことも、 求め合うことも無い、 ただの行為。 なのに俺は、 感じたんだ。 俺の体は、 あの体にだけ、 反応したんだ――。