「お風呂、昨日使われなかったんですか?」

「・・・・・・」


答えない俺に和香は視線を落として、


「バスタオルが使われてなかったので」


と小さく呟いた。


「・・・・・・別に、どこでシャワー浴びようが俺の勝手だろ」


答えともいえない俺の台詞。

拗ねたガキだってもっまともなことを言えるだろう。


和香は体を縮めて「すみません」と口にする。

そして、


「それじゃあ――」


帰りますと和香はジャケットを羽織り、マフラーを首に巻く。

そんな彼女を俺は見送るでもなくソファに座って、

ガチャリと閉まるドアの音を聞いた。