店に出ても、
「ちょっと、聞いてる?」
「――あ、あぁ、聞いてるよ」
客との会話はまるで上の空。
灰皿の交換もドリンクの追加も気が回らない。
シャワーでも浴びてくればよかった。
ローズの香りがシャツにでも滲みこんでるのか、何度も俺の鼻腔を刺激する。
手にはアイツの感触が残ったままで――。
「最近、全然だよね?彼女でも出来た?」
そいつはキャバ嬢で、
「なわけねぇだろ」
「だよね。いたとしても素直に答えてちゃホスト失格だしね」
いわゆる、
「じゃ、久々にこの後どう?」
セフレみたいな関係。
お互い利用しあって・・・・・・、
だから、
「――いいけど」
俺はそう答えた。


