ガチャリと重苦しく閉まるドアの音。
俺はゆっくりと頭をもたげ時計を見た。
7:48
思った以上に時間が過ぎてる。
今日は同伴の約束もないし、早く店に出ないと。
そう思うのに、体が重く気だるくて――
そのまま頭をシーツに落とした。
鼻先を掠めるのは淡いローズの、
和香の残り香。
俺はそれを突き放すように両手を伸ばして体を起こした。
ベッドから降りようとして・・・・・・。
視界を掠めたのは、
少しドス黒くなった、
赤いシミ――。
俺はシーツと引き剥がして、
洗濯機に突っ込んだ。
まるで犯罪者が証拠隠滅でもするように。


