花菜はゆっくりドアを開けて顔だけひょっこり出した。
「ごめん…今起きた。…十分待てる?」

陽は溜め息をついて頭をくしゃっと掻いた。「分かった。十分で支度出来なきゃ置いてくからな。」
と笑いながら言った。花菜は冗談だと気付いた。

そんな陽を待たせまいと急いで支度した。化粧は薄めなので時間はかからず、髪も短くて何もしなくてもキマる。

整った自分を鏡に映しチェックする。
「よし!」
―完璧だ!

「お待たせー」
ものの十分待ってるだけでも陽はドアの横で溶けていた。