ピンポーン…

返事がない。
「花菜ー?」

何度も呼ぶ声で目を覚ました。
机に突っ伏していた花菜は、ケータイを見た。
「一時十分………!!?」

そう、今日は陽とのデートの日。
暑い中、黒の英文字がプリントされている白いシャツを来て外で待っていた。

「留守かな…?」
そう思った時だった。
「ああああぁぁぁっ!!!」
アパート中に聞こえるほど大きな叫び声を上げた。

何事かと思い、隣の人や下の階の人が次々と出てきた。
陽は焦って「何でもないです」と言って住人に戻ってもらった。

何でオレがこんな事…とため息をついた。
「花菜、いるんだろ?」