「大丈夫?!」
陽は立ち上がり、力ない声でいった。
「だ、大丈夫…。」

「大丈夫じゃないじゃん!はい、昨日水筒だけは用意してたみたいだから。」
「サンキュ。」

そして、ぐいっと水筒を七十度ぐらいまで上げて一気に飲んだ。余程のどが渇いていたらしい。

「ぷはぁ!生き返る!!」
水筒の中身は半分も残っていなかった。
「さ、いこっか。」
「おう。」

場所はまだ知らされていないため、花菜は陽の横につき、ついて行くだけだった。

「そいや、何で寝坊したんだよ。」
笑いながらたずねて来た。
「あー…結局昨日、大学の課題おわったんだけどさ、いろいろあって午前三時になっちゃったんだ。」
いろいろとは、デートのための準備や服などを選んでいた事だ。

「それに私、七時間以上寝ないと気が済まないタイプで。」
「ウケる、目覚ましセットしないでそのまま寝たんだな?」

図星だった。
「そう…もう、眠くて眠くてヤバかった。」

「あはは。さ、行こうか。」
かなり迷惑をかけたなと心の中で改めて反省した花菜だった。