じわじわと照る太陽。
地面にはかげろうがゆらゆらと建物の下半身を歪ませる。

その中を、わざわざ日傘をさして歩いていく女がいた。
彼女の名は桜田花菜。

今年の夏は暑くなると聞いて、肩の少し上まで切った髪が歩く度に揺れる。

小学校から高校まで一緒だった、幼馴染み兼親友の中嶋陽が相談したいと言うことで近くの喫茶店に向かっていた。

実は陽と会うのは高校卒業以来である。
大分久しぶりで、それなりの緊張はしているようだった。

喫茶店に着くと、陽が何処に居るのか探した。
が、陽が花菜に気付いたため、探す手間が省けた。

「花菜ー」

自分の名前を呼ぶ方へ向かい、陽の向かいの席に座った。