そしたら、その子の顔がだんだん赤くなっていって… 下を向いていた顔が、俺を睨み付けた。 「いい加減にしてよ!」 その子は、今にも泣きそうで…でも冷めきった瞳で、そう言った後、足早に俺を避けるように、 海沿いの堤防を歩いていった。 なんとなくだけど、 「―――このままじゃ、駄目だ―――」 そう思って、その子の背中に向かって走った。 今思うと、すんごく可笑しい。 けど、その時の俺は気づかなかった。 気づけなかった。 その子の傷を――。