『皆勤だったお前がいきなり3日連続来ないもんだから、こいつらが五月蝿くて仕方ない』

マスターの言葉に『五月蝿いって何スか』等々ごちゃごちゃした合いの手が入る。
以前と変わらない賑やかさに頬がゆるむ。

「すまないと皆に伝えてくれ。……ちょっと私用が入ってな。暫くそちらに行けなくなった」

『おいおい、何か変なのに首突っ込んでんじゃねぇだろうな』

「平気だ。危ないことなはい」

『そうか……何かあったら遠慮なく言えよ。いつでも助けに行ってやるから、こいつらが』

『任せて下さい!』

元気いっぱいの声が続く。

『ははっ。そーゆーわけだ。お前らの手に負えなかったら俺も手を貸すさ。大人だからな』

「礼を言う。………マスターに期待はしていないがな」

『俺はやるときはやる男だぜ?』

「やる時にやってもらうのは当然だ」

『……手厳しいな』

はー、と息をつかれ、私はあくびをひとつする。

「では、私が居なくとも、何か問題を起こすことのないよう頼む」

マスターは『familiar』の顧問のようなものだから、あんなでも彼に任せておけば心配はない。

「はいはいじゃあな、頑張ってこいよ」

「ああ」

通話を切り、ケータイを枕元にあった充電器に差し込む。
立ち上がるとき少しふらついたが、クローゼットまで歩き、寝間着代わりに学校指定のジャージに着替える。
なかなか着心地がよい。

何も考えずベッドに潜り込めば、一瞬にして意識は闇に包まれた。