「遅い! 何のために俺がわざわざ出迎えてやったと思ってるんだ」

「一緒に夕飯食べに行くという話しだろう」

「いつそんな話をした!」

机に手を叩きつけた優希。
私は訳がわからず眉間にシワを寄せる。

「先程、私が帰ってこないから食堂に行けないのだとぼやいていたではないか」

「そうだよ。お前がいないから、俺の宿題が終わんねぇんだ!」

そう言って、私に見せてきたのは例の課題。

「お前、大卒してるんだろ。だったら解けるよな!」

要約すると、課題が終わらないから食堂に行けない。
終わらせるには、私の知識が必要。
だから待っていたというわけか。
数分前までの幸せ気分が嘘のように消え去った。
むしろ、ぬか喜びさせられたことに怒っているのかもしれない。

「自業自得だろう。人をあてにするな」

だからか、存外冷たい声が出た。

優希はさっきまでの勢いが嘘のように大人しくなる。
血の気が引いているようにも見える彼を共同スペースに残しら玲の部屋に入り鍵をかけた。
そしてまっすぐ、制服のまま前からベッドに倒れこむ。