「私立達富学園(しりつたつとみがくえん)です。ご存知でしょう」

「あの有名なおぼっちゃま学校か」

心当たりはあった。
なぜか金持ちばかりが集まる、小中高一貫の全寮制男子校。
偏差値も申し分ないくらい高いところだ。

「はい、そこの理事長が信司様で、玲様はそこの高等部の生徒です」

「………」

初耳だ、驚きのあまり言葉も出ない。
あの叔父が理事長なんてものをしていたなんて。

玲をでれでれに甘やかしているところしか見たことがないから、想像もつかない。
ちゃんと仕事しているのだろうか。

「着きますのはおよそ3時間後になりますので、お休みいただいて結構ですよ」

「わかった」

不毛なことを考えるのはやめた。
お言葉に甘えて、眠らせてもらうとしよう。

なんたって早朝から不快な目覚めだったのだから。
それに、ここ最近昼に寝て、夜動き回っていたからなおさら。

横になると弾力のあるシートに身体が沈む。

広いし、揺れないし、寝心地いいしで非常に快適だ。
疲れた身体から力が抜けるまではそう時間はかからなかった。