云えないコトノハ

「じゃあ、改めて自己紹介といこうか。2年特進クラス杉山光紀(すぎやまみつのり)、風紀委員長をやっている」

「天花寺麗だ。今は達富玲としてこの学校に通っている」

「それなんだが、どういうことだ?」

まあ、そう思うのは普通だろう。
先日の朝かかってきた電話のことから、今日までを端折って話した。

「……酷い話だが、レイ…天花寺が来てくれたことは素直に嬉しいな」

「麗でいい。私も光紀と呼ばせてもらう」

「わかった。そういや麗は、達富の代わりとして過ごす間、何してるんだ?」

「別に何も。普通の学生として生活するだけだ」

今の私の顔には、大きく不本意だと書かれていたことだろう。
間違いのないよう捕捉すると、玲の身代わりを務めることが嫌なわけではない。
わざわざ朝起きて、つまらない授業を受けなければならないことが面倒なのだ。

「ひとつ、提案がある」

私は視線を向けることで、話の続きを促した。

「風紀に入らないか? 今ちょうど人員を募集している」