一介の委員会室にあるまじき豪奢な扉をくぐり、促されるまま正面にあった応接セットのソファーに腰をおろす。
隣には先ほどの少年、テーブルを挟んだ向かいには風紀委員長が二人掛けのソファーの真ん中にどっかりと座った。

「消毒します、怪我した所を出してください」

「は、はい!」

すかさず少年のところに救急箱を持った細身の風紀委員が近付く。
素早く少年の掌の治療を終えれば、一礼して下がる。

一呼吸置いて、長い脚を組んだ風紀委員長が尋問を始めた。

「さて、もう一度話してもらえるか?」

「はい……」

少年は、先程の言い分と同じことを少し詳しく述べる。
彼の声と、キーボードを叩く音だけが響いた。

「達富、参考までに聞いておきたい」

少年の話が終わるとひとつ相槌をうち、私にふってきた。

「僕が手紙を見付けたのは5限目開始直前です。手紙にあった通り、放課後に体育館裏倉庫に行くと、殴られそうになっている彼を見付けて間に入りました。ここから先はご存知の通りですよ」

最後ににこりと笑んでやる。

「そうか、話は以上だ。寮に帰るといい。処分は追って連絡しよう」

「はいっ、失礼しました」

少年が立ち上がって礼をするのに合わせて腰をあげようとすると、風紀委員長が待ったをかけた。