私が届かないかもしれない念を飛ばしている間に、風紀委員長は生徒を立たせた。

「さて、お前の言い分を聞こう」

「は、はい……」

生徒は震える声で事の経緯を話し始める。

「僕は、隊長に言われて、達富君をここに呼び出しました。でも、時間になっても達富君は来なくて、僕が制裁されそうになった所を達富君が助けてくれて、委員長が来ました」

端的だな。

ぼんやり思っていると、生徒が風紀委員長に頭を下げた。

「悪いのは僕です、達富君は関係ありません。ですから、罰を受けるのは僕だけにしてください!」

風紀委員長は腕組みして考える素振りを見せたので、私は生徒を庇うように前に出る。

考えているなら、まだ間に合う。
彼はまだ高校生だ。
謝ってくれた、反省している子に重い罰は必要ない。

「この人、反省しているようですし、結果だけ言うならば被害書です。罰は必要ないと思いますが」

口元に笑みを称え、風紀委員長をまっすぐ見あげる。
暫くの間、この状態が続き、先に折れたのは彼の方。

「一番の被害者がそう言うなら、今回だけ見逃してやる」

大きな溜め息の後、発せられた言葉に、私は頷き、生徒はぽかんとした。
ただひとつ、訂正させていただけるならば。

「一番の被害者は、あれではないのか?」

私はその辺に倒れている男たちを指す。