「あの手紙を達富君の机に入れたの、僕なんです。………ごめんなさい」

「手紙とは、放課後体育館裏倉庫に来いっていうあれのことかな?」

「はい……」

ということは、ここが体育館裏倉庫か。
達富玲の到着が遅いから、呼び出し係が上に怒られたということだろう。
実際は怒るの域を越えていたように思うが。

ひとり納得していると、校舎の方から誰かが走ってくるのが見えた。

「ふ、風紀委員長……」

私の視線の先に気付いた生徒が怯えた声をあげる。

丁度いい、この子を風紀に引き渡して帰ろう。

立ち上がると、すぐそこまで来ていた風紀委員長と間近で対面することとなった。

「あ………」

思わず声が漏れる。

短めなさらさらの銀髪に碧の瞳、整った顔にすらりとした体躯。
そんな彼に見覚えがあった。

彼にも私に思うことがあるらしく、互いに数秒見つめあう所となる。

「お前……また呼び出しに応じたのか。もう絶対行くなと忠告したよな」

だが、言われたのは私の予想から外れた言葉。

またってことは、優希だけでなく、目の前の彼にも助けられていたということか。
過保護な優希の目を掻い潜って、呼び出しに応じていたと。

好きなら、大切なら目を離すんじゃない。

現在は部屋でもくもくと課題に取り組んでいるであろう彼に向けて、心の中で怒る。