一瞬だけ、目を見開いていたが、すぐにいつもの調子に戻る。

「外で会ったことあるのか?」

「まぁな」

だが彼は、聞いてきたわりにあまり興味を示さず、皿に落ちたそれを今度こそ口に入れた。

咀嚼してしばらくすると、話を再開した。

「生徒会と風紀が不良チームに入ってるのは、ここで知らない奴はいない。もちろん玲も」

「それならなぜ、退学にならないんだ?」

由緒ある金持ち学校なら、そういうものは排除する傾向にあると思うのだが。

「退学なんてさせたら十中八九、半数以上の生徒から学園が糾弾されるぞ」

さも当然というふうに言い切る彼は、遠い目をしながら、ここでは顔と家柄が全てだと続けた。

「あいつらの家は国内でも有数の財閥だからな。ま、悪いことしてないから見逃されてるってのもあるかもしれないが」

「そうか。では、玲の生活を守るためには、生徒会と風紀には関わらない方がいいな」

「確かにそうだけど、無理だと思うぜ」

それには思い当たる節があったので、私は肩を落とす。