本当は全て右から左に抜けているのだが、こう答えておけばほとんどの場合で問題はない。
そして今回も例に漏れず、叔父は私の言葉に上機嫌になる。
彼の扱いは簡単だ。
息子をほめればいいだけだから、単純でいい。

勘違いしないでほしいが、私も玲を可愛いと思っている。
この叔父と同じ意見であるのは不服だが、仕方ない。

『で、電話の用事なんだけど』

やっとか、今月の電話料が怖い。

『玲からの頼みで、麗ちゃんの協力が必要なんだ』

「玲の……」

『もうすぐ迎えがそっち着くから、必要なものを持ってきなさい』

「詳しい説明を要求する」

『いいね、では切るよ』

瞬間、通話終了の無機質な音が鳴った。