私立校にしては珍しく、土曜日も休みらしい。
ということなので私は、夜型になっていた体をこの二日寝続けることで昼型に戻した。

そして迎える月曜日の朝。

「いい加減起きやがれ!」

声と同時に振り下ろされた拳を寝返りをうつことでかわす。

「なんだい」

「なんだい、じゃねーだろ! お前いったい何時間寝たと思ってんだ」

「さーね」

よっと声をだしてベッドからでる。
クローゼットを開けて制服である白基調のブレザーを取り出し、着替えているあいだにも赤江優希はベッド脇で騒いでいた。

「さーねじゃねーよ、お前のことだろ。ったく、聞いて驚け、2日半だ! よくそんなに寝れたな!」

「何時間と訊いたのなら、時間で答えろどあほうが」

「はっ、わかったぜ、狸寝入りしてたんだな。でないと俺の拳をさけるなんてこと……」

「朝から五月蝿い。もう少し静かにできんのか」

黙らせるため、彼の腹に一発拳を打ち込むと、力なくその場にくずれおちて静かになる。
それを無感動に見届けて、本日の時間割どおりのものを指定かばんにつめていく。
一度確認をしてから、かばんを肩に掛け、赤江優希を呼ぼうと振り返ってみれば、彼は床にうずくまったまま呪詛するようにつぶやいていた。

「……陰気」

「誰がだ!」

ばねのように跳ね起き、私にくわっと牙を向く。
頑丈で、変わり身の早い奴だ。