「じゃあ、それまでは玲のため、お前に協力してやる」

「そりゃどーも」

何かが気に食わなくて、そっけない返事をするが、本当によかったと思っている。

協力者は多いほうがいい……のかな。
まず、ばれてはいけないという定義からして間違っているのは明白。

少し考えた末に、まあこいつならいいかと思い直す。

「あのさ」

彼が口を開いたので目を向けることで続きを促す。

「俺が言うのもなんだが、玲は俺以外に親しいやつはいない。だから」

「クラスメートの顔と名前を知らなくても、私が玲を演じなくてもいいわけだ」

「そうなるな。外見だけはそっくりだから」

それは言外に中身は違うことを言っていた。
確かにそうだから怒る必要はないし、どちらかというと、見分けてもらえるのを嬉しいとすら思う。

彼の場合、玲とそれ以外でしかないのだろうが、今はそれでもいいと思った。