「ことろで、私と玲。区別がつかないほど似ているはずなんだが、なぜ一目見ただけで私が玲ではないとわかった?」

私の素朴な、かつ死活問題となるこの質問に、彼はさも当然というように答えた。

「玲はお前と違ってかわいいからな」

「はいはいごちそうさま」

「確信を持てたのは、雰囲気と口調が違ってたのが大きいな」

雰囲気と口調か、それは盲点だった。

「玲はこう、ほんわかしているんだよ。それに比べ、お前は淡白だ」

「すみませんねー、冷たくて」

「いいんじゃねーの? 人の性格、その本質はそう簡単に変えられるもんじゃない」

その言葉がなぜかすんなり心の中に入ったのを感じた。

「なあ、玲は帰ってくるよな」

不安げな目を向けてくる赤江優希にあてられたのか、私まで根拠のない不安に襲われる。

「……ああ」

その約束だ。
私がうなずいた途端、彼がとても嬉しそうな顔をするものだから、不覚にもどきっとしてしまった。