叔父の言う『玲』は、彼の息子のことで私のいとこにあたる。
達富信司が一人息子の玲を溺愛していることは、親族皆周知のこと。
だから叔父はいろいろと私に難癖つけてくる。

生まれた年も日も同じ、顔も体型も瓜二つなのが気に入らないのだろう。
それをネタによく周りに比べられていたから。
そんなことがあるからといって、私は玲を嫌っていない、寧ろ好いている。
彼は私にはないものをいっぱいもっているから。

『でねでねー、玲はほんっとかわいくてー。……麗ちゃん聞いてた?』

この叔父はあきれるほどに息子自慢をする。
しかも同じことを何度も繰り返し聞かされるので、被害者は総じて辟易していた。

「聞いてたよ、玲はとても可愛い」