「そうだけど」

はじめて投げられた疑問に、玲はこのことを話してはいないのかと感じた。
回答を求める問いかけは続く。

「身代わりは嫌じゃないのか?」

「玲ならいい」

「ここは全寮制の男子校だぜ?」

「特に問題はない」

「テスト最下位が急に上位になるのは変じゃないか?」

「そんなの、いちいち気にすることでもない。……そんなくだらない理屈を並べてまで、私をここから追い出したい?」

私の質問に彼は私の目を見てはっきり答えた。

「……ああ」

「なぜ」

彼の眉間にみるみるしわが寄っていき、深く刻まれると頭をぐしゃぐしゃにかき回しはじめた。
ほどよくセットされていた髪が見る影もなくボサボサになる。

「あーもーっ!」

床に向けて叫んだあと、感情をむき出しにして赤江優希は叫ぶ。