「今気づいたんだが」

私と玲の会話に割り込んできた叔父。
彼の顔は怒りに引きつっていた。

「麗が玲になりすますということは、麗は玲の服を着て、玲の布団で寝て……」

「当然だよ」

間髪いれずに肯定する玲。
同時に私は叔父の棘のある視線に刺されることとなる。
たったこれだけで睨んでくるなんてたちが悪い。
終いには、監禁でもやらかしそうな危うさを彼は持っていた。

「じゃあお父さん、僕もう行くね。麗いこっ」

玲に手を引かれ、一緒に部屋を飛び出す。
鈍感な玲が先ほどの空気に気づいていたとは思えないが、結果的に助けられた。
開放感に息をついている間にも、玲はエレベーターのある方へ歩く。
手をつないでいる私も必然的にそれに倣う。