云えないコトノハ

「今この瞬間から、僕を……達富玲を名乗って学校に通って欲しい!」

それに対する答えはもちろん決まっている。

「いいよ。いつまで?」

互いの名前を交換して遊ぶことは幼いころよくやっていた。
そのころと同じ感覚で了承の返事を返す。

多くて数日程度のことだろうと思っていた私にとって、玲からの返答は予想外なものだった。

「……高校卒業まで」

「………」

瞬間、私は目を丸くした。

ここまで長期にわたって入れ替わったことは過去にない。
玲がなぜそれを要求するのか、わからなかった。

「……なぜ、そんなに?」

頭に浮かんだのは、いじめられているという言葉だ。
学校に通ってほしいと頼まれた時点で何かあると気付くべきだった。