その時に『familiar』の総長様は天花寺様じゃないかって思ったんですよ。
と、松本が言うものだから、原因は生徒会かと私は目を細めた。

「で、わざわざ人払いをしようとしてまで話をするくらいだ。何かあるんだろう?」

「いいえ、何も」

「………」

「人払いをお願いしたのは、天花寺様のことを無造作に話せないと判断してのこと。僕はただ、あなたと話がしてみたかった、ただの『familiar』ファンです」

キャー言っちゃった、恥ずかしい。
そんな心の声が聞こえた気がした。
そういえば、光紀と李白が『familiar』という不良チームに所属していることは、この学校の皆が知っていることだと優希が言っていた。
もともと知っている者がいても不思議はないが、こうも大々的に広めたのは話を聞く限り生徒会だろう。

ああ、それを含めての謝罪か。

今朝、バラ園で開口一番謝ってきた、生徒会長風神威士。
別れ際までふたりで話して笑いあった。
『familiar』と同じ理想を掲げる『divine wind』の総長。
彼は常識ある人と記憶している。
何が彼に玲、否『レイ』を追い回させたのか。
それは本人でなければわからないことだ。