赤くなって腫れてくる。

痛い。

でも、痛みがひいていくのと同時に感情の波もひいていく。

「あはっ」

カッターを使う勇気がなかった私の中途半端なリスカ。

中学時代にはまってしまった。

手首にはまだいくつもの傷跡が残っている。

高校に入ってからいつのまにかしなくなっていたのに。

またやっちゃったな。

でも、

もう一度傷をつけようとする。

…ダメだ。

茉莉の顔が浮かんでくる。

私がこんなことしてるって知ったら、

あの子はなんていうかな。

…怒る、よね、きっと。

でも、

「はは…っ」

笑えてくる。

涙が出るほど。

そう、これは笑い泣きだから。

絶対そうだから。

手で涙をぬぐう。

もう、しない。

でも、どうしたらいいのかわからない。

苦しい。

扉の向こうからのぞみとお父さんの楽しげな笑い声が聞こえてきた。