お父さんは今単身赴任中。

月に一回に帰ってくるんだけど、

そうするとそのたびに私のことを責める。

どうせなまけ病だろう、とか言って…

「のぞみは自分で早く起きて、お母さんの手伝いしているぞ」

「…うん」

頭がぼーっとしていて、言葉がすべて通り抜けていく。

お父さんがなにを言っているのか認識できない。

「お母さんはこの頃体調が悪いんだろう?

それなのにお前は手伝おうとは思わないのか?」

…わかってるよ!そんなこと。

私だって手伝いたい。

お母さんが具合悪いの、見たくない。

笑っていてほしい。

そう思ってるよ!

でも言えない。

なぜか喉の奥に引っかかってうまく言葉にならない。

「…わかったよ」

無理やり体を起こして立ち上がる。

平衡感覚が麻痺して、足元がふらつく。

でもなんともないふりをして歩く。

絶対この人にだけは弱みなんか見せない。

どうせそんな安い演技するなって言われるから。