「藤江、これコピーよろしく」
「はい」
定時少し前の、慌ただしいオフィス。
しかし金曜日だからか、心なしか
社員の顔からは安堵感さえ伺える。
私は素早くコピーし、彼に渡す。
「金沢さん、出来ました」
「さすが藤江。いつも助かるよ」
「仕事ですから」
「ところで今日このあと、空いてるか?」
「え…このあと、ですか?空いてますけど」
「飯、一緒にどう?
藤江とゆっくり話してみたいし」
まさか、
あの憧れの金沢さんに
私がご飯に誘われるなんて…
これは、夢?
それとも…
「藤江?」
こんなチャンス、
二度と無いかもしれない!
そうきたら
答えはもちろん、
「じゃあ、お言葉に甘えて…」

