―突然だが、今日が約束の月曜日。
 時間は、飛んでいない。それもまた、気のせいだ。

 F組に、観月 優奈の所に、安藤 宰が原稿用紙を持って、やってきた。

「…ほら、書いたぜ。優奈ちゃんに言われた事、全部含んでるはずたよ。」

 観月 優奈は、それを少し驚いたような、困ったような顔をして受けとった。
 安藤 宰に、無理難題を押し付ければ諦める、とでも思っていたのだろうか。
 残念ながら、安藤 宰はそんな常識人ではない。安藤 宰のポリシーは、一度言い出したら、最後までやり遂げないと気が済まない。売られた喧嘩は、買う。の2つであるから、仕方の無い事なのだ。

 観月 優奈は、小さな溜め息を1つ、短くして言った。

「…合格です。」
「じゃあ、付き合ってくれるよね。約束したし♪」

 観月 優奈は、改めて安藤 宰に向き直った。

「…私は、腐女子です。ガリ勉です。無口で、変人です。それでもいいなら、どうぞ。」


 すべての時間が止まり、永遠に動かなくなったかのように、感じられただろうか。
 少なくとも、F組の皆はそう感じているだろう。

「……あの、それマジで言ってんの?腐女子…とか、、」
「真面目だけど、それが?」
「腐女子って、オタク…の事だよね。」
「腐女子が、全部オタクと思わないで。私は、オタクじゃ無い。ただの、腐女子。」
「…えー。マジで…。」
「…そういう事だから。」

―ガタッ
 そう言うと、観月 優奈が本を持って、イスから立ち上がった。
 もう、安藤 宰に関わりたくないのだろう。

「…待ってよ。せっかくだから、付き合おうよ。」

 …でも、やっぱり安藤 宰なのだ。
 安藤 宰は、プライドが物凄く高いのだ。…申し込んだ物を、自分で取り消す事などは…安藤 宰に出来るわけがない。

「…………分かった。」

 観月 優奈は、短く返事を返した。